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野薔薇

<其の一>

この子は喋れん幼児けど いつのころからじっと 私の横に居ったんか

私もまだ子供で小さくて 美しい青年になるため 自らの心を尖らせて 頑なに身体を想い守っていた

同じ時をあるくこの子は あい変わらずの無表情 ごくたまに静寂の妖精と目を合わせくすっと笑った

ときの川は流れつづけて いつのまにやろか


私の枝葉に触れるようになった

私の幹に抱きつくようになった

私の腰で昼寝するようになった

私の肌に接吻するようになった


ときはさらさら流れ 私は少年になり 青年を咆哮し 壮年を謳歌して 老木になった 


私とこの子は 一つの空を見ているのに 

私とこの子は 違う時間をあるいている

涼くん ねぇ 私きっと先に朽ちるんな


けどまた若芽が出たときに 私の話をしておくれ そして永遠に見つめておくれ 愛してやっておくれ


nobara_1


<其の二>

ある日 聴いた わたしの老いた耳で はじめて この子の声を

はじめての声は 泣き声 うめき声

乾いた 果実を 絞り出すよな 僅かな涙

あぁ もう体液がどんどん血潮で流されてん


潤いのない 果実の絞りかす わずかな血と涙

ごつごつの肌を通し 幹の内側まで浸していく幼児の血と涙


血だらけのお顔 赤黒く染まったお手手 のろのろ もたれて

ひざまずいて わたしの腰に そっとそっと もたれて・・・


あぁ 春の風よぉ この子の寝息 空の宮殿にあずけておくれ

あぁ 春の風よぉ この子の血を 可愛いお花畑にしておくれ



わたしはこの子 この子はわたし 

この子は心臓を止めたよ わたしもすぐに朽ちていく

どのくらい経っただろう 子供は土になっている

わたしも 還る時が来た 長い長い時間の沈黙 大地と最後の接吻 


意識がなくなる刹那 最後の最後の夢をみた・・・


怪我がすっかりなおった幼児 粛々と微笑えみ 私に向かってあるいてくる

老い乾たわたしの肌をそぉと 唇で愛でてから 野薔薇にお顔をちかずけて

そのまま ゆぅくりゆぅくり 芥の塵になって 乾いた風に運ばれていった


野薔薇_1
<PICS BY NANIYOSHI>





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ペレさん

ペレさん、こんにちは!

「大きな木」を読まれた方々にその本を彷彿させるという、想定外の散文になってしまいました^^
しかし、それはそれで有名童話作家と波長の近いものを創作できたということで光栄です。

いつも安らぎを求める涼くんと、無償の愛を持って優しく接しているおねえちゃんの日常を綴っている散文ブログですが、たまにはこのように趣向を変えるのも良いのかなと思いました。

自分自身、死を悟ったら何処に行くべきなのか…いつか考えなくてはいけない課題だと再認識しました。

いつも、ご訪問とコメントいただきありがとうございます!

HIZAKI

Re: No title

絵本「おおきな木」…ねこねーさんに教えていただき、おぉ!となりました。

種や性を超えた無償の愛。お金は使うと尽きてしまうけど、愛は身を削っても尽きることはない。。。素敵なお話でした。

> 木も涼くんも知らず知らずのうちにお互いを癒しているんですね。

涼くんは、夢と現実の隙間の世界であった木の心に何を感じたのでしょう。赤ちゃんが、幼児がただただ親を求めるように、本能で触って、抱いて、抱かれて、看取ってもらったのでしょうか。。。実は僕にもわからないのです。

いつも、ご訪問とコメント本当にありがとうございます!

HIZAKI

YUKAさん

YUKAさん、こんにちは。
すっかりお返事が遅くなってしまい…なによしさんふうに言えばジャンピング土下座を繰り返したい心境でございます^^

なによし絵師先生と原作「野薔薇」を読み、似て非ながら根底が一緒という創作物に挑戦してみました。
ハッピーエンドではないけど、切なさの中に真実が隠されているような世界。命がオブラートで包まれているように曖昧でもどかしい世界。。。

この世で肉体をなくしたら何処に行くのだろうか?誰にもわからないけど、確実に実在していたことは真実。
季節の変化とともにテーマが少し重くなってきたかもです。

切なくなってしまったら、息抜きに晶くんを優しく抱っこしてくださいね。

いつもご訪問とコメントありがとうございます☆

HIZAKI

八乙女 夕さん

お返事遅くなって失礼しております。ご訪問、コメントありがとうございました

> この詩では、立場が逆ですが、植物と人間、猫と人間というような、いくつもの時間の流れの違いがこの世にはあって、それでいて、ひとときの邂逅があって、時間と想いを共有するのかなあ、そんな事を考えました。

素晴らしいコメントありがとうございます。御縁で袖降りあってから幸せなひと時があっても、ここが持つ時間と運命の中のひと時であるかも…という感覚で書いてみました。

夢と現実のはざまでそっと消えていく二人の運命にそっと触れていただいたこと感謝いたします。

これからもよろしくお願いします。

HIZAKI

No title

「おおきな木」・・・・・・・・・・
なんか見覚えのあるようなタイトルだったので、家のなかを
探したら、ありましたね(笑;)
これ、セミナーの先生に戴いて、そのまま読まずにしまってた(汗)
何て失礼なことしてんだ!と自分を叱責して
今、読んでみましたが、深いですね!
ねこねーさんやいそさとさんがおっしゃるとおり、悲しいけど素晴らしい本でした。
今回のHIZAKIさんの話もまた違った内容なのですが、
「おおきな木」の『無償の愛』もしくは『アガペー(無条件愛)』に
共通するところがありますね。
涼くんと老木は一緒、そして、それは現実の僕達にもいえることだと思います。
もし、目の前に知らない方がいたとしても、その方とワタシは鏡。
朽ちていく速度は違うかもしれないけど、土に還るのは一緒。
ただ、違うとするなら、そこに「あなたは生きたか?」
「ワタシは生きた」
無条件に愛を与えて生きてきた、ワタシはそれで満たされた。
今回のHIZAKIさんの詩、視点は違えど、なんとも深い散文だと思いました。
生と死、そこに精一杯生きた証があるから、人はまた伝え続く、
良い散文アリガトウ御座いました。

No title

わたしも絵本「おおきな木」持ってますよ。大好きな本の中の一冊です。その絵本を読むと無償の愛を感じにはおれません。絵もシンプルでかわいいんです。

木も涼くんも知らず知らずのうちにお互いを癒しているんですね。

こんばんは^^

何だか凄く考えさせられて、なかなかコメントが出来ずにいました。
とても哀しくて切ないのに、見守る老木が優しくも感じて。

若さと老い
成長と衰退
違う時間、同じ時


生まれて精一杯命を張り、生きていつか土へ還る――
色々な対比の中に込められているもの。
それをずっと考えてました。

人も植物も変わらない輪廻で、そこに生命の環を感じてみたり。

とても素敵な散文でした^^

No title

コルシカ島で1000年の歳を経た栗の老木を観に行ったのですよ。その時に、この樹はどれだけたくさんの人間が年老いて死んで行くのを見たのかなあというようなことを、そこはかとなく考えたのです。

この詩では、立場が逆ですが、植物と人間、猫と人間というような、いくつもの時間の流れの違いがこの世にはあって、それでいて、ひとときの邂逅があって、時間と想いを共有するのかなあ、そんな事を考えました。

涼くんは、痛みを訴えるのに、なんてふさわしい存在を選んだのでしょう。

拍手コメさま

長い散文になってしまいましたが、ゆっくり噛みしめて読んでいただきありがとうございます。在るような無いような不思議な世界。でも現実ともどこか通じるものがあるような気がしています。

いつもありがとうございます。

HIZAKI

ころなさん

> 出会いと別れ
> そんなことを考えました

ありがとうございます。全くその通りのテーマです。
シンプルなテーマですけど一人一人の考え方や運命、もっている時間の速度…
いろいろな要素で、それぞれの出会いがあり別れがあると。

この子は涼くんです^^ ゆっくり眠って癒されて、思い出と一緒におねえちゃんのところに帰っていくでしょう。

いつもご訪問とコメントありがとうございます。

HIZAKI

ねこねーさん

> 今回は、シルヴァスタインの絵本・・・

ねこねーさん、いろいろな絵本をご存知ですね!でもシルヴァスタインという方を存じなかったのでさっそググって公式ページなど観に行ってきましたが、まだ彼の世界観をつかみきれず。。。もう少し勉強してみます。博学ねこねーさん、お力添えよろしくです。

今回は大人の童話作家「小川未明」の野薔薇を底流に構成しました。
わかりづらい内容かもしれませんが、まぁ雰囲気だけでも。。。

ご訪問とコメントありがとうございました!

HIZAKI

No title

出会いと別れ
そんなことを考えました
世の中は変わります。
でも、記憶をつなげていけるから
だから大丈夫

この子は涼くんなのかな?
この木のこと、ちゃんと伝えてくれるでしょう
だから、安心して眠りについてください。

No title

今回は、シルヴァスタインの絵本
「おおきな木」の世界観ですねe-465

ねこねーさんも、彼の絵本は大好きですよe-278
でも本に掲載されているご本人の写真が
あまりに怖くて…もっといい写真はなかったのかe-263

人間は顔だけで判断してはいけないけれど…
ちびっ子が見るとトラウマになりそうなお顔なんですもん(苦笑)
プロフィール

HIZAKI

Author:HIZAKI
ずっと涼くんの中にいたけど、急に外の世界に引張り出されて大混乱中(on 2014.02.01)復活を待っていて下さる皆様に感謝&感謝の毎日です。涼くんは責任もって育てますよって、涼くん大好きさんの方もご安心を♡

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